tomohappiestの日々是雑感

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金(壱万円札)は天下の回りものを考えた

  壱万円札と聞いて誰が思い浮かぶだろうか。
 世代がわかるかもしれないが、福沢諭吉と答える人と聖徳太子と答える人が2分する。1958年12月1日に日本で初めて1万円札が発行された。

 あれから、半世紀以上が経過し、時代の流れを感じる。

 そして令和時代生まれの子供たちにとっては、渋沢栄一になるだろう。
 というのはすでに2024年から、日本では今のところ最高額の紙幣(日本銀行券)である1万札の主役となる人物だから。

 さらに、2021年の大河ドラマ「青天を衝け」は彼が主人公


 そんな注目度が高まる渋沢栄一とはどんな人物なのか。知っているようで実はよく知らない方も多いのではないだろうか。

 そういう私も恥ずかしながら、数年前までは、同じ埼玉県出身で、株式会社の基礎である合本主義(資本主義)を日本に浸透させ、500社近い株式会社の操業にかかわった人物等いうくらいの知識しかなかった。

 今回、何冊かの本を読んで、日本資本主義の父といわれるゆえんや、自己の利益ではなく公益(社会の利益)を考え、日本の産業の基礎(株式会社の生みの親)を築き、近代化のために自ら行動した人だと知った。

 コロナウイルスに端を発し、世界経済が不安定な(停滞する)中でも、自助だけでは限界があり、共助、公助で連携しながら、企業は社会貢献や持続可能な成長(SDGS)をしていくことが日本社会の課題だろう。
 
 部分最適化では、まずわが社の経営を継続させることが最優先だが、1社が生き残っても、それによって倒産する会社が多ければ、社会は大恐慌に陥り、失業者があふれ、社会生活を維持できなくなり暴動や革命になりかねない。
 
 そうならないために、渋沢は、経営者には会社の利益追求だけに走らず、それを支える 株主や社会に還元することで社会の利益になるという理念を1916年刊行の「論語と算盤(そろばん)」で記している。
 

 彼の生い立ちから振り返る。子供のころから中国の論語などの中国古典に親しみ道徳観念が備わっていた。1840(天保11)年、武蔵国榛沢郡血洗島村(現:埼玉県深谷市)の百姓の家に生まれ、幼いころから家業である藍玉の製造・販売や養蚕を手伝い、商才を磨く。士農工商の身分差別があったため、農民から、武士を目指し、尊皇攘夷天皇を敬い、異国は敵)に染まり、大使館の焼き討ち計画も企てていた。そんな折、一橋家(後の15代将軍徳川慶喜)に仕え、パリ万博の使節団として海外に行った事が転機となり、合本(資本)主義の考え方に感銘を受ける。
 社会から資金を集めて資本金にし、社会に貢献できる会社を起業することをまじかに見て日本に取り入れた先駆者で、政府(官)が民を支配する政治体制(官尊民卑)からの脱却に寄与した。
 
 目先の利益ではなく社会の利益を考え、日本国のために商工業を発達させることが重要と考えて株式会社の設立に奔走した。
 第一国立銀行(今のみずほ銀行)や東京証券取引所の設立にかかわり商業の基礎を築いた。
 
 企業の社会貢献では、社会福祉事業や慈善活動などにも力を入れ、私利私欲ではなく社会全体が豊かになることを目指した。
 道徳心に富む人材の育成(現在の一橋大学東京商工会議所)や女子教育(日本女子大の設立)に力を入れた。さらに1877年の博愛社日本赤十字社)、1908年の中央慈善協会(社会福祉協議会)など約600社の慈善活動団体の設立に寄与した。
 晩年は、民間外交官として戦前の日米関係が悪化した時期に、外国人宣教師とともに日本に「青い目の人形」を贈る交流事業を自身が会長を務める日本国際児童親善会がサポートするなど、医療福祉教育民間外交などでも尽力した。

 これからの予期せぬ経済不安定な時代を乗り切るには、企業経営者が私利私欲に走らず、道徳(社会全体の利益)を考え行動することが大切だと説いた。ノーベル平和賞の候補にも2度選ばれた。

 

 現在、コロナウイルスの感染者が急増し企業活動や人の往来が制限される中、官民協力して、それぞれの立場からできること(官ならば民への企業支援(定額融資、税の軽減、支払い猶予など)、企業ならば、できるかぎり企業を支える人財(社員)の雇用確保や生活保障をすることが求められる。
 

 個人でも社会貢献などに力を入れている企業や自治体への応援手段として、株主になる(株式投資する)だけでなくクラウドファンディングふるさと納税などで寄付したり、企業の主力製品を購入するなど消費行動したりできる。

 

 いざというときのために最低限の貯蓄は必要だが、金は天下の回り物とはよく言ったもので、つねに必要なところにお金が循環することで、国、地方自治体、企業、家庭の家計(財政)がうまく回り、経済の好循環がうまれ景気が安定する。

 行政は、必要なところに予算をつけ、企業は利益などを自己資本や株主配当にまわし、さらに資本金を元に投資をおこない成長していく。企業が成長すれば、従業員(労働者)の給料が上がり所得が増え家計がうるおう。国や自治体も税収が増え、住民にとって必要な施策に予算つけてサービスの向上が図れる。

 

 ブラック企業が淘汰され、企業の存続価値である経営の継続と道徳(社会還元)を両立している会社が生き残り、日本社会全体が持続可能な発展をしていくことが、国民生活を守るとともに世界の人々の幸せにもつながると信じたい。

 

時代が変われど通じる彼の名言を一部紹介する。

「真の富とは道徳に基づくものでなければ決して永くは続かない。」

「お金をたくさん集めて、たくさん使うことで社会を活発にし、経済の発展を促すのがよい。お金持ちはよく集めると同時に、よく使わなければならない。」

「一個人がいかに富んでいても、社会全体が貧乏であったら、その人の幸福は保証されない。その事業が個人を利するだけでなく、多数社会を利してゆくのでなければ、決して正しい商売とはいえない。」

「我も富み、人も富み、しかして国家の進歩発達をたすくる富にして、はじめて真正の富と言い得る。」

「得意時代だからとて気を緩さず、失意の時だからとて落胆せず、常操をもって道理を踏み通すように心がけて出ることが肝要である。」

 

ちなみに、彼が企業の設立に関与した会社の約6割が平均120年近く経営を継続している。

 
 彼の生誕180年の今年(新型コロナウイルスが収束したら)、リニューアルする渋沢の生誕の地を訪れて、資本主義社会の目指すところや社会貢献等について理解を深めようと思う。その前に、論語と算盤(そろばん)を読むことから始めるかな。


(参考)

公益財団法人 渋沢栄一記念財団

渋沢栄一ミュージアム

 大河ドラマ 青天を衝(つ)け |NHK_PR|NHKオンライン

  渋沢栄一~近代化に尽くした人~  NHK for School(動画)

渋沢栄一の名言・格言30選|心に響く言葉 | LIVE THE WAY

渋沢栄一 - Bing video