tomohappiestの日々是雑感

日常生活でのふとした出来事から大イベントまでその時感じたことを書いていこうと思っています!!

話題のサンデル教授来日・・

 ついこの前まで、NHK大河ドラマ龍馬伝の裏?番組で放映して話題となっていた「ハーバード大学ロースクールの白熱授業(マイケルサンデル教授)」を記憶している方も多いだろう。彼の授業「正義とは何か」も、具体的で身近な事例を出して、議論を巻き起こしている。
 例えば、「イチローの年俸はアメリカ大統領の42倍。これは公正か」など。
 8月25日には、東京大学で特別講義(授業)を行った。その時の 詳細はこちら
 
 
 哲学や倫理学など、ちょっと小難しいという印象もあってか、真剣に向き合って深く考える機会は少ないと思う。
 しかし、一生のうちで、究極の選択などの立たされてある大きな決断(選択)をしなければならない場面が何度かある。特に人の命がかかわる生命倫理は、考えさせられることが多い。
 
 最近では、脳死の方の臓器移植問題で、臓器提供者本人の同意がなくても、家族の同意があれば、臓器提供できるようになり、実際数件の事例が発生している。
 
 今までは、高いお金を使って欧米にに行かないと、臓器提供を受けられなかったが(寄付がなかなか集まらず、志半ばで亡くなった方もいる)、今回の法改正で、日本国内でも臓器提供ができるようになった。その結果、臓器提供を待っている患者にとって、健康を取り戻すチャンスが広がった。
 
 そこで、もし自分の大切な人が脳死状態となり、本人からの書面での同意がない場合、家族として、臓器提供にOKの返事をするかどうか選択を迫られることになる。
 
もちろん、その家族を取り巻く環境も影響してくるだろう。
例えば、本人が事前に、臓器を提供してもいいと話していた場合、あるいは自分の身の回りに臓器提供を待っている人がいる時などは、患者の気持ちがわかり、臓器提供にOKという返事になる確率は高まるだろう。
 
 また、個々の生命倫理観によって考え方も変わってくる。
人の体にメスを入れるのは抵抗があるとか、本人の意思がわからない以上、家族が決めるわけにはいかないのでOKしない場合もある。(自己決定権)
 
 最近では、死刑制度について考がえさせられる報道もあった。
 法務省で、死刑執行場所を公開したが、国家(間接的には人間)の手で、人の命を奪っていいのかという選択となる。もし自分が法務大臣(そうなることはないと思うので杞憂だが)や犯罪被害者家族だった場合、犯罪者の罪を死刑と判断するかどうか。
 実際に、裁判員制度も始まり、将来、自分が判断を下す側に立つこともある。
 死刑制度があるから凶悪犯罪を抑止でき、被害者家族の無念を少しは晴らせると考えたり、人権(命)は何よりも尊いものであって国家の手で奪うことができるのか、はたまた冤罪が起こりうるのではないかといった論点がある。一方、核と同じく、死刑制度はあっても行使しないといった考えもある。
 死刑廃止か存続か、どちらも賛否両論だが、今回の情報公開は国民的議論を引き起こす1つのきっかけになったと思う。
 
 1992年におこったエホバの証人輸血拒否事件なども、民事訴訟ではあるが自己決定権が絡んだ事件だった。
 結論よりも、議論することが大切なことだろう。そのためには、可能な範囲で情報が公になり議論できる土壌を作ることは悪いことではない。
 飲酒運転の刑罰が重くなったのも、被害者家族が理不尽さ(刑の軽さ)を訴え、世論を巻き起こしたことがきっかけだった。
 迷ったとき困ったときに、相談や議論しあえる環境があることが大切なことだと思う。どのような意見も安心して言える土壌(民主主義)は、過去の大戦や歴史の反省に立って築いてきたもので、守っていかなければいけないと痛感している。
 
 
●自己決定権とは
 憲法第13条の「幸福追求権」に根拠を持つものとされている。憲法第13条は「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」というもので、前段で個人の尊重、後段で幸福追求権を保障している。
 
 自己決定権の具体的な内容は次のように大別されて説明されることが多い。
① ライフスタイルに関する自己決定権(容姿、夫婦別姓など)
② 出産・妊娠中絶などの生殖活動に関する自己決定権(代理出産など)
③ 生命・身体に関する自己決定権(自殺、尊厳死など)
 
 
【参考】
 ・・生徒の賛否両論の意見も掲載されています
 
NHK教育TVで話題になった放送の内容を紹介しています
 
 
 左ページは文章、右ページは図の構成はとても分かり易く、どんな倫理上の問題があるか知るのにお勧めの一冊(簡単に読めます)