タイトルの諺のように、良い習慣は人生を豊かにしてくれることは経験的に実感している方も多いと思う。
昔から、健康維持では、早寝早起き、質の高い睡眠、朝食はしっかり食べる,栄養のバランスのとれた食事、1日○○歩ウォーキング・・など。その習慣をサポートするために、各種メディアでも健康食品や健康グッズなどは、景気に左右されず一定の売り上げもあるようだ。
何か事をなすには健康ファーストで、皆、自分なりに充実した人生を過ごしたいという願望はあるのだろう。
とはいえ、健康であっても、より豊かな人生が送れるかは、別の話。人間は1人できままに生きていく(亡くなる)のは難しい。自立とともに、人類は一定のルールや倫理のもと助け合って社会を築き、生活基盤を整備している。国家レベルでは社会保障(医療、介護、年金制度ななど)しかり。
個人レベルでは、良好な人間関係、恩師や親友の存在、教養、趣味、社会貢献などは、時代が変われど人生を豊かにする要因だと思う。
より充実した人生を送るための手法は、巷にはあふれる本や雑誌などで特集しているので、そちらを参考にして自分に合った方法を模索してみるのも一考だろう。
その中でも、名著といわれる人生本の1つに、自分の運命を自分で切り開くための方法を過去200年間の成功事例を研究したスティーブンゴディー氏の著書「7つの習慣」があるが、聞いたことがあるだろうか。
私は、以前から新聞広告や書店などで目に止まり気になっていたが、分厚い本で、難しそうなので敬遠(後回しに)してきた。難しい内容の著書は、子どもでもわかる〇〇や漫画でわかる〇〇などの本にとりあえず目を通すのが、1つの習慣となっている。もう1つの習慣(教養を磨く)でもある週末の近隣図書館通いが功を奏し、「13歳から分かる! 7つの習慣 自分を変えるレッスン」を手に取り読んでみた。すると・・
期待通り(以上)の効果(成果)を生み出してくれた。薄い本で、心理的ハードルも低く、カラーで絵や図表も多く、タイトルどおり子どもでもとっつきやすい工夫がされており、内容(要旨)も理解しやすい。
より充実した幸せな人生を送りたいと思っている方には、入門書としておすすめ!!
ビブリオバトルではないが、本の魅力を一部紹介する。人生の分岐点(進学、就活、転職、第2,3の人生)、幸福な生活への追求(ウエルビーイング)などの指針の参考になれば幸い。内容の概要を、感想を交えて記しておく。
7つ目の習慣、「刃を研ぐ(自分磨き)」は、私的成功・公的成功をさらに押し進めるための習慣として、人格を磨き、健康、知性、お金、人間関係が充実していることが、基本となると主張している。
そのための方針が、第1の習慣から第3の習慣は、私的(個人の内面を磨く)の成功、第4の習慣から第6の習慣は、公的(社会や良好な人間関係)の成功に関することであり、前者(個人)が後者(社会や人間関係)を支える基礎となっている。
第1の習慣 主体性である
第2の習慣 終わりを思い描くことから始める
第3の習慣 最優先事項を優先する
第4の習慣 Win-Winを考える
第5の習慣 まず理解に徹し、そして理解される
第6の習慣 シナジーを創り出す
第7の習慣 刃を研ぐ
私なりの結論は、7つの習慣は、「成功体験を分析し、自分の幸福感を充実させる人格を磨くための方針。」だと認識した。
○著書の理解を深めるためのキーワードを確認しておく。
パラダイムシフト
ものの味方。
例 犬を見て、かわいいと思う方もいれば、咬まれた危険がありトラウマで怖いと感じる方もいる。
うまくいっていない場合、自分の者の見方で判断し、行動し、その成果となるサイクルがうまくいっていないので、ものの見方を変える必要がある。その時は、誠実、公正、貢献、可能性、成長などこうありたいという願いに近づけたいと思ったときはがパラダイムシフトのタイミング。
立ち位置を変える
視野を広げてみないと、目の前にとらわれ過ぎて思い込みが勝って、自分がどういう立場(状況)にいるか気が付かない。
例 錯覚を利用しただまし絵など。
理想の自分からほど遠い時ほど、いったん立ち止まって、視点を変えて物事を俯瞰する、専門家に相談する、人の意見を聞くなどすることで、自分が今おかれている現状を変えるきっかえとなる。
インサイドアウト
インサイドは、自分の内面、アウトサイドは周りの環境や相手を意味する。
自分の中でものの見方を変えて環境や相手に影響を与えていくこと。
まずは自分から変わる。
例 プレゼン
×うまくいかないのは周りが理解力がないからだと考える。
○自分から、説明責任を果たし理解してもらえるよう働きかける。
まとめ
・パラダイムシフトで見方を変える。
思い込みを少なくし、正しい姿をとらえる。
・インサイドアウトで自分の内側から変える。
⇒自分の行動は変えられるが、人の行動は自分では変えられない。自分の内側から変え、周りに影響を与えていく。
✕ アウトサイド・イン 例:行きたい学校があったが、親から言われた世間体のいい学校に進学した。自分には合わず中退し、親のせいにして殻に閉じこもってしまい、周りも困惑している。
◎ インサイド・アウト 例:親にも相談したが、熟考して自分で納得した進路選択をした。自分には合わず中退したが、自分で受け止め、失敗を生かして、前向きに次の目標に進み、周りも応援してくれるようになった。
①主体的である
主体的な行動は人間の特性。
刺激、一時停止(一度立ち止まって主体的に考える)、行動の流れ。
アンガーマネジメントなどでは、6秒違うことを考え冷静になってから行動すればよかったものを、感情に任せて行動すると事態が大きくなってしまった経験があるだろう。
主体的に行動して人生の主人公になるために、自分の力で変えられることである影響の輪(今日やること、友達との付き合い方など)に力を集中し、自分では変えられないこと(過去の失敗を後悔するなど)には、時間とエネルギーを注いでも、状況はよくならない。
影響の輪が大きくなれば、自分の未来をコントロールしてよいものに変えていくことがしやすくなり、モチベーションが上がる。進路、結婚・・・最後は自分で考え自分で決める。
②人生の終わりを思い描くことから始める
まずはゴールを決めて正しい方向に向かおう。理想形が定まらないと、何のために行動しているのかわからなくなってしまう。
先にゴールを決めて、そこから逆に道をたどれば、「いま、なにをすればよいか」がわかる。原則を中心にして役割やゴールを定め、いくつかある選択肢を一歩引いて眺め、
全体をバランスよく考え、自分で選択をすることができる。
例 原則:誠実(自分の気持ちや周りの人たちと誠実に向きあう)
大谷選手が高校時代に活用した9マス目標管理シートなどを活用すると、目標(ゴール)とゴールに近づくための手法が明確になり主体的に取り組むモチベーションも向上すると思う。
まとめ
人生(短期、中期、長期)その時点でのゴールを決めることで、自分の人生を引っ張っていくことができる。自分の中心になる原則を決める。
③大事なことを最優先する。
時間には限りがあるので、優先事項を見える化することから始める。
例えば災害時では、生命の危機にある中、人手も足りない中で、お互い協力しつつ、優先事項(ルール)を決めて行動できるかが重要課題。
自分の人生も同様。9マス目標管理シートでもあれもしたいこれもしたい・・と悩むが、試行錯誤や失敗しながらも、どれが目標に近づくのに有効か考え判断する力が重要。
7つの習慣③では、重要度緊急度を4つに分類(①重要かつ緊急②重要だが緊急でない③重要でないが緊急④重要でなく緊急でもない)する。
①では、期限がある、契約・約束、生命にかかわる緊急事態(けがや病気の対応等)
②では、人生にかかわること、リスキリング、人脈、体調管理
③急に頼まれた雑用、付き合いの飲み会など
④暇つぶしのゲーム、意味のない長電話、LINEのやり取りなど
特に②を大切にし、対策時間を増やし、ほかの領域の時間を減らす努力をする。アサーティブに断ることや他人に任せることも重要。
例えば、日常の家事、掃除、洗濯、介護、保育、なども人の力を借りることで自分の時間を省力化し、②の時間に充てることができる。
まとめ
・必要な時はアサーティブ(自己主張をすると同時に、相手の気持ちや考えを尊重する)に断る。
・人の力を借りる。
④WINWIN+NODEAL(取引しない)を考える。
私は、子どもの頃は(今でも多少)、負けず嫌いではあるが、その要因は、団塊ジュニア世代で、受験に始まり競争社会の価値観の中で育った環境が影響しているのかもしれない。
勝つ者がいれば負けるものもいる。人生山あり谷ありだが、社会全体では、誰もが負けないまたは勝つことが理想。
自分も相手も納得するWINWINになれば、相手を不幸にせず、自分の望みもかなえ、人生のゴールである幸せに近づくことができる。
そのために必要なことは、思いやりと勇気と豊かな心(幸せになれるという信じる気持ち)と説く。
また、理解に苦しむ結論になりそうな場合、話し合いを一端見送ることも勇気ある決断となる。停戦合意や領土問題など、今までの経緯もあり非常に難しい交渉となるが、真の目的、目標が何かをお互い共有して、どうすれば妥協(誰もが負けない)できるかがポイント。一方が優位に立つ結論は、長続きせず、元の木阿弥になることは歴史が証明している。
相手への思いやりがなければ自分だけが得をする結果になり、自分が要求を我慢して築く関係も長期的には続かない。
また、多くの人は、パイは1個しかなく誰かが1切れ食べたら自分の取り分が減るという欠乏マインドを持ってしまっているため、手柄を独占する発想や相手の取り分を減らす考えに至ってしまうらしい。
例題
お客様と商店主がWINWINになる商店街活性化イベントをしたい。
私の回答例
お店の主力商品(お茶、コーヒー)のセールスポイント・活用などを専門的な立場で分かりやすく宣伝(講義、試食会など)する。お客(参加者)は、お店の品を1品以上を購入する。
⑤相手の話を聞く
まずは、相手がどう考えているかを知らなければ、相手との関係を築くことは難しい。
まずは相手を知ることが、自分の考え方と違うところをどう近づけるか考える基になる。
相手の考えを理解するには、相手の置かれている状況や立場を思いやり共感しながら傾聴する。カウンセリングでは、おうむ返し自分の言葉に置き換える、相手の気持ちを言葉に置き換える、相手の気持ちを汲み取り自分の言葉に置き換え気持に触れることを実践しているそうだ。私が学んでいる(手話)通訳でも同様のことがいえるだろう。
つい自分のことを知ってもらいたいと自叙伝を前面に出してしまいがちになるが、これは自分の考えの押し付けにもつながるので、まずは相手の考えを聞くことが重要。
人が理解したいのは信頼できる人で、自分がどうしたいのかどうなりたいのかを他人と分かち合うことは大きな力になる。また、何事もまずは信頼できる方(専門家や親友など)に相談することも重要。
そして、次に自分を理解してもらう。
相手に伝えるのではなく伝わる(理解してもらう)ことが重要。
具体的に、難しい言葉は優しい言葉に言い換え(やさしい日本語やこの著書なども参照)、自分がどうしたいのか、どうなりたいのか相手と共有することがコミュニケーションの基本。
まとめ
・まずは聞き上手になる。理解する、理解してもらうの順番が大切。
ものの見方は異なるので相手の考え方を理解する。
・相手の心を開く。おうむ返し、自分の言葉に置き換える、相手の気持ちを言葉にする、自分の言葉に置き換えながら気持にも触れる。
⑥シナジーを作り出す(自分と異なる能力を持った人と協力して相乗効果を得る)
1人で考え込まないで、相手と相談し協力(協働)し、第3の答えを導くこと。
相手の考えと折り合いがつかないとき、相乗効果を作り出すチャンスでもある。
まさに、ピンチ(失敗)が(成功)のチャンス。
自分の意見と相手の意見が重なるところは妥協だが、視野を広げて新たな第3の領域を見つけ出すことで予想外の成果が表れることがある。
例1 奇数個のみかんを2人で平等になりように分けたい。
回答例1
みかんをつぶしてジュースにして2等分する。
みかんの種を植えて、数を増やして、2人だけでなく、多くの人にも分け与える。
例2
9つある正方形の頂点を一筆書きで結びたい。
回答例
視点を広げて考えてみてください。
ただし、シナジーを作り出すには、未知の世界に飛び出すので勇気が必要。
投資同様、失敗や危険も潜むが、過去の経緯、データ、自他の知識・経験などから判断して(1~5を活用して)、ある程度、リスクも踏まえて行動することが大切。
次に相手との信頼関係の下でのコミュニケーションが必要。
心理的安全性(つまらないことでも意見できる、批判せず自由な意見が活発に言える雰囲気)がたもたれていることが重要。
信頼と協力がなければなりたたない。シナジーを邪魔しているものは、①話しにくい雰囲気 ②価値観の違い ③競争意識
これらを取り除くには、まずは自らが、7つの習慣に立ち返ることから始める必要がある。
ビジネスシーンで、人は変えられないので、プロジェクトチームを立ち上げる場合などは、時には、人選(7つの習慣を身に着けているかたを選ぶ)も重要になるのかな。
世界には自分の意見とそれ以外の意見しかないので、シナジーを作り出すチャンスでもある。
企業のイノベーションや発明なども、自由な発想で第3の案を考え行動(試行錯誤)して、より良い結果を導いていくのだろう。
100円ショップ(最近は3コインズに始まりさらに創意工夫したお店が席巻してきている)などの商品を見ると、様々なアイデアを取り入れ創意工夫していることが伝わる。
まずは、成功例や失敗例から学ぶ(真似)ぶことから始める。
⑦刃を研ぐ
7の習慣「刃を研ぐ」は、第1〜6の習慣を実践・実現するために、自分自身の価値を維持し高めていくための習慣。
自分を作っている4側面(からだ、精神、知性、人間関係)について、日頃から管理し改善を図り、実行していくことが重要。
まず肉体的側面では、自分自身の身体を普段からいたわり、大切にすることが述べられている。栄養バランスの取れた身体に良い食事を摂取し、定期的な運動を行い、リラックスのための休養を取ることが重要。
精神的側面は、自分の人生を自ら導くために自分の価値観や目的・方向性を見つめ直し、心の栄養を与える習慣を指す。例えば日々の取り組みの中で、自分にとってのバイブル本を読むことや映画、絵画鑑賞、ヨガや瞑想すること、(ソロ)キャンプ、自分の生きる目的を考えること、日記を書くことなども有効な方法かと思う。
私は、映画鑑賞と日記とジョギングとプチ旅行は、習慣化し、人生のパートナーとなった。
4つの側面はすべてをバランスよく磨いていく必要があり、どれか1つでもおろそかにすれば、他の3つの側面に悪影響をもたらす。一方で、肉体を鍛えることが心の安定に繋がるように、1つの側面を磨けばその他の側面にも良い影響を与えられるため、毎日隙間時間を利用して刃を研ぐこと(自己研鑽)に時間を充てていくことを心掛けることが重要。
また、「インサイド・アウト」の考えで、今の自分を取り巻く状況を客観的な事実を中心に、捉え直す。他人のせいではなく、これまでの判断や行動が今の状況を作り出していると考えてみたとき、あなたは「自分が人生の主人公であり、自分の人生は自分で切り開ける」ことを再認識できるかもしれない。
さらに、自分が世の中に対して持つパラダイムや態度・行動を見つめ直し、自分が望む成功と達成できない理由を自分で把握する。世の中や他者と自分を比べて、今持っているパラダイムとこれから持つべきパラダイムを認識することで、自分と在りたい姿とのギャップを明確にし、課題を把握する。
第1の習慣から順に『7つの習慣』をそれぞれ取り組み、徐々に日々の習慣としてくことが、当初の目的(より充実した人生を過ごす)の近なのかもしれない。
まとめ
・4つの要素(からだ、精神、知性、人間関係)を磨いてバランスよく基礎人間力をレベルアップする
・自分という(未来の)資産に投資(自分の価値を高めるために時間やエネルギーを注ぐこと)する