tomohappiestの日々是雑感

日常生活でのふとした出来事から大イベントまでその時感じたことを書いていこうと思っています!!

世界地図から世界を見る(池上彰氏の講演会)を聴講して・・

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 昨日、今テレビで引っ張りだこの、NHK週間子どもニュースでおなじみだった「池上彰」氏の講演会に行ってきた。

 TVで、世界情勢や政治・経済など新聞を賑わせている難しいテーマを、例え話や豊富な知識・雑学、ユーモアなどを交えつつ、模型を使いながら視覚にも訴えながら、わかりやすく解説することでおなじみの方なので、とても楽しみにしていた。
 会場は、講演2時間前から長蛇の列で、整理券を配っての入場だった。早く行ったおかげで(早起きは3文の得!)、真ん中の列の中段くらいのベストポジションをキープできた。ちなみに会場に入りきれない方のために、別室を設け、遠隔操作で中継を結んだ。
 
 会場内を見渡すと、老若男女が集まっていた。通常この手の講演会は、若者に人気のある講演者でなければ、年配の人が圧倒的に多いのだが、今回は、特に、20代の若者が多かったのが印象に残っている。
 きっと、彼が週間子どもニュースのお父さんだったころに、小学生だったのだろう。きっと、彼からニュースを学んだ人も多かったのかもしれない。
 
 講演だが、日本テレビで土曜日のPM8時から放映している「世界一受けたい授業」の内容を1時間20分に伸ばしたような感じだった。

 プレゼンの基礎である、つかみから入って、視覚に訴えながら、質問も交え会場との一体感を大切にしながら、興味深い話をしていた。プレゼンの仕方の勉強にもなった。
 講演のテーマは「世界地図から世界を見る~国の数だけ違う世界がある~」
 
 講師をアナウンサーだと勘違いしている人もいるようだが、実際は記者だった。子どもに判りやすく教えるには、現場を取材して内容を熟知しているもののほうがいいということで、TV画面にお父さん役で登場したそうだ。
 毎回、テーマごとに使う模型も、自分でアイデアを考えて大道具さんに作ってもらったそうだ。
 また、完全生放送なので、子どもたちからどんな発言が飛び出すかわからないので、フォローできるように常に緊張していたとのこと。それを、1994年から11年間勤め上げた。私なんかは、自分のプレゼンだけでも冷や汗の連続なのに、人の心配までは到底できないと思った。
 
 スタジオでの苦労話から始まり、いざ本題へ。
 取材した現地で購入した世界地図を何枚も見せながら、その国の立場(その当時の政権、政治体制、外交関係など)で、地図の表記や色分けが違うということを話し始めた。

(例1)
 中国の地図では、北方領土は、日本の領土となって色分けされている。一見、ロシア領になっているのではと思いがちだが、1960年代、ソ連と中国は国境問題で紛争も起こしており、その頃には日中国交回復も行われ、実際に日中関係は良好になっている時期だった。そこで、日中間には、過去の歴史問題はあるが、「敵の敵は味方」で、ソ連と領土問題で関係が悪化している日本を味方につけることで、ソ連にプレッシャーを与えていたとのこと。
 また、隣り合う国同士も、4色あれば塗り分けられる(数学で有名な4色問題(証明済み))を利用し、各国の地図は、たいてい4色で塗り分けられている。

(例2)
 フォークランド諸島も、イギリスの地図はもちろんイギリス領となっており、アルゼンチンの地図ではアルゼンチン領となっている。
 第3国(両国に利害関係のある国など)の地図会社は、イギリス、アルゼンチンを同じ色にして、フォークランド諸島も同色に塗っている。それによって、どちらの領土と解釈できる。
 また、日本のある地図会社は、台湾(中華民国)と中国(中華人民共和国)の領土を、同じ色で塗り、地図表記も中国(どちらの正式名称も約すと中国)と表記している。

 世界地図1つで、国同士の利害関係や地図作成業者の苦労がよくわかり、この発想力に感銘を受けた。問題地域は白くしておけばいいのではと思ったが、それでは紛争当事国両方から不満を抱かれる結果となる。

(例3)
日本に関係の深い韓国とは、「日本海」の表記が問題になった。韓国から見ると、東の海に当たるので「東海」と表記すべきだと日本や国際機関に訴えた。
 しかし、「東海」は、中国の「東海(東シナ海)・・シナは差別用語になるので地図上は「東海」と表記」と同じとなり、どちらも東海になってしまう。

(例4)
 アフリカのルワンダというと、日本人の記憶にはツチ族フツ族の内戦を思い出す方が多いだろう。しかし、今は、民主主義国家となり、ここのコーヒーは世界でも最高級の味だと評判になっていて、ヨーロッパから多くの商人が買い付けに来ている。今ではアフリカのシンガポールと言われ、リゾート地となっているそうだ。

(例5)
取材で、ドイツの学生に、日本というと思い出すものはと聞いたところ、「芸者、きのこ雲、忍者、力士」との回答が多かったそうだ。日本のことをぜんぜん知らないのだなーと感じたが、果たして我々日本人もドイツについて同じ質問をされると、なんて答えるだろうか。おそらく、「ソーセージ、ビール」くらいしか出てこない方も多いのではないかな?他国(人)の批判はできても、いざ自分の足元を振り返ってみると、批判されても仕方ない。
 相手のことを、何も知らないで、知ったかぶりをするのは失礼だと再認識した。無知は、一歩間違えると、凶器にもなりえる。(湾岸戦争しかり・・)

(例6)
 宇宙から見た地球、世界地図には国境はない。国境というのはそれぞれの国が自分の主張で国境線を勝手に書いただけ。これからは国境線にとらわれない客観的な味方が必要だ。
 宇宙から見ると、日本はほとんど緑に覆われている。一方で、夜は、明かりが消えない。地球温暖化防止の観点からは、喜んでばかり入られない。


【まとめ】
ステレオタイプにならず、新たな視点を持って物事を見る。その結果、新たな発想が生まれることも多い。
・自分の頭(目)で見ることで、好奇心を抱いたり、物事を判断できる。
(これこそ記者魂!)
・無知や知ったかぶりは、相手を傷つけることになる。まずは、相手のことを知ることが大切。
・世界地図というのは、どこでも同じだと思いがちですが、実は違う。それぞれの国の方針、立場、歴史によって変わる。それぞれの国の世界地図を見る事によって、それぞれの国の言い分、つまりは世界情勢が見えてくる。

●参考
世界一受けたい授業
 http://www.ntv.co.jp/sekaju/old/student/20050806.html

総務省統計局 世界地図】
 http://www.stat.go.jp/data/sekai/h4.htm

【世界地図リンク集】
 http://www.hir-net.com/link/map/world.html